あらすじ
1944年、ロスアラモス。
若き物理学者ジョブ・ヨークは、戦争を終わらせるための火を作っていると信じていた。
日系アメリカ人の通訳官ナオミ・アキヤマは、傍受された日本語文書の中に、「第二の日輪」と「帰還者」に関する奇妙な記述を見つける。
同じ頃、東欧の戦場では、ソ連特殊部門の若き将校アンドレイ・ヴォルコフが、破壊された教会の地下から「石と聖座の盟約」と呼ばれる古代の記録を奪取していた。
異なる国。
異なる言語。
異なる信仰。
だが、そこに記されていた警告は同じだった。
――第二の太陽が人の手によって昇る時、去りし者は帰郷の道を聞く。
マンハッタン計画。
広島。
冷戦。
古代文明の帰還。
そして、「死者の名を背負う者」。
これは、歴史の火と喪失の中で語られる、もうひとつのオデュッセイア。
『流浪するシーシュポス』と同一世界観の前日譚。
第一部未読でもお読みいただけます。
本作はフィクションです。
しかし、そこに描かれる火と喪失は、現実の歴史と無関係ではありません。
第二次世界大戦、そして広島・長崎をはじめとするすべての戦禍で命を奪われた方々へ、深い哀悼の意を捧げます。