あらすじ

「おめでとうございます。あなたは婚姻指定対象者となりました」  国民家族省から届いた白い封筒が、白鳥唯の生活を終わらせた。  近未来の日本では、少子化対策として「結婚義務法」が施行されている。三十歳以上の未婚者には、国が結婚相手を指定する。拒否は可能。ただし、原則十年間、国が指定する職務に従事しなければならない。  唯に指定された相手は、山田渉。  かつて唯をネット炎上に追い込んだ側の一人であり、結婚義務法を支持していた男だった。  「私たちは、互いに結婚したくない。でも拒否すれば十年」  憎しみも、恐怖も、過去の傷も消えないまま、二人は制度をやり過ごすために婚姻届を出す。  しかし、国が求めていたのは結婚そのものではなかった。  同居状況。家計の共有。家族形成計画。第一子出産希望時期。  赤い糸アプリは、二人の生活の奥へ、静かに入り込んでくる。  支援、相談、協力、家族形成。  やわらかい言葉で人を追い詰める国に、唯はもう黙っていられなかった。  これは、国に結婚相手を決められた二人が、許さないまま、逃げないことを選ぶ物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/18
  • 現在の作品結婚義務法