あらすじ
時は二一四二年。人類は永生技術により不老不死を得たが、長い生に疲れた人々は「ライフ・リセット」制度のもと、記憶と環境を最適化しながら新たな人生を繰り返していた。
閃能(創造性・活力の指標)研究者・斉藤悠真は、永生によって失われた「生きる意味」を取り戻すための環境設計を研究している。彼の相棒である若き研究者・平河遥は、実証実験のためにこれまで一人で何度も記憶最適化を伴う引越しを繰り返してきた。しかし今回は、悠真と共に三つの候補地、超高層タワー「天浮橋」、自然豊かなコミュニティ「中つ国」、意識共有の仮想世界「天御祖」を視察し、次の引越し先を決めることとなる。
視察を通じて、遥は自らの心の奥底に潜む世界への強烈な疑念を再び自覚する。一方で、悠真は遥の才能を深く信頼しつつ、彼の抱える危うさと自身の記憶の空白に気づき始める。
永遠の幸福と、静かな疑念が同居する常世という箱庭の中で、二人はどう生きるのか。