あらすじ
前世、女性だけの歌劇団「星都歌劇団」で完璧な王子様を演じ続けた男役スター。
今世こそ、フリルとレースのドレスを着て、誰かに手を取られる「姫」になりたかった。
明日は念願の社交界デビュー。
亡き母の白薔薇レースをあしらった、淡い菫色のドレスが私を待っている。
――はずだったのに。
「リリアーナ。お前、今日からリオンになれ」
双子の兄が失踪した。父が土下座した。気がつけば私は男装していた。
鏡の中には、前世で散々演じた完璧な王子様。
「お嬢様。男装が似合わない要素を探す方が難しゅうございます」
違う。違うのだ。私は姫になりたいのに。
なのに王宮初出仕で貴族たちは黙り、ハンカチを拾えば令嬢たちはときめき、冷徹と名高い王太子アレクシス殿下は私を観察し、こう言った。
「明日から、私の側近見習いとして来い」
待って。私の壁のシミ計画は。私のドレスは。私の姫人生は。
しかも殿下、あなた……気づいてますよね、私の正体に。
これは、今世こそ姫になりたい元男役スターが、兄の身代わりで男装し、白薔薇舞踏会で真珠色のドレスを纏い、王太子に跪かれるまでの三か月の物語。
「男装の君も、ドレス姿の君も、どちらも君だ」
「君の最初の一曲は、私に」
ハッピーエンド/ざまぁあり/一話完結短編