あらすじ
山奥で迷った二人の紳士は、一軒の西洋料理店を見つける。
その名は、山猫軒。
本来なら、そこは人間を下ごしらえして食べる恐ろしい料理店だった。
しかし、今回の二人は少し違った。
一人は、脂・酒・煙草・香水・虫よけ・風呂不足をまといながら、自分を「脂の乗った上等な食材」だと思い込んでいる紳士。
もう一人は、無類の猫好きだが猫アレルギーで、猫の気持ちを知るためにチュールを常備している紳士。
山猫たちは、最初こそ人間肉に期待する。
しかし扉が開いた瞬間、客より先に匂いが入店した。
「これは食材ではない。生活習慣の寄せ鍋だ」
髪をとかせ。
靴の泥を落とせ。
服を脱げ。
クリームを塗れ。
酢をかけろ。
塩をもみこめ。
山猫たちは原作通りの注文で下ごしらえを試みるが、二人の紳士はどうにもならない。
脂は乗っているのではなく、脂に乗っ取られている。
酒は熟成ではなく、ただの言い換え。
靴を脱げば、足元には別の文明がある。
ついに山猫は二人を食材として不採用にする。