あらすじ
名前だけは主人公っぽい男、黒崎優斗(くろさきゆうと)、28歳。
午後五時の定時チャイムが鳴れば、俺の「本番」が始まる。
古着屋で買ったサイズの微妙な黒スーツに身を包み、安ウイスキー(と、お線香状態のたばこ)を片手にデスクに足を投げ出す。
気分は孤独を愛する冷徹な私立探偵――。
……まぁ、昼間の本当の姿(表の顔)は、ただのしがない段ボール工場作業員。
ネットの片隅に「黒崎探偵事務所」と電話番号を書き込んだのも、完全なるハードボイルドオタクの自己満足だった。
本物の事件なんて来たら困るし、気の弱い俺に解決できるわけがない。
そうビビり散らかしていたある日、一本の電話が鳴り響く。
受話器の向こうから聞こえてきたのは、若く美しい女性からの、本物の「失踪事件」の依頼だった――。
「昭和かよ!」とツッコミたくなるようなお父さんの奇妙な書き置きから始まり、都会派探偵(笑)を襲う過酷な軽井沢の山道、そして美人の依頼人(の、形のいい丸いお尻)。
危険がないならと鼻の下を伸ばしかけたヘタレ探偵が、図らずも大企業の隠蔽工作というガチのサスペンスに巻き込まれていく!?
「ハードボイルドな探偵ってやつは……依頼主に恋なんかしないのさ」
とか格好つけてる場合じゃない! 早く作業服に着替えて出勤しないと遅刻する!!
ヘタレなオタク作業員が、ハッタリとやせ我慢だけで事件に挑む(?)、等身大のコメディ・ハードボイルドミステリー、ここに開幕!