あらすじ

高校二年生の稲田知 悠馬(いなだち ゆうま)と、上田木 穂花(うえだき ほのか)。周りからは付き合っているとからかわれながらも、あと一歩を踏み出せない「両片思い」の二人。「明日、大事な話があるんだ」夕暮れの教室で、少し照れくさそうにそう告げた穂花の笑顔が、最後の記憶になった。翌朝、待ち合わせ場所に彼女は来なかった。教室の隣の席は空っぽのまま。LINEは既読がつかず、電話をかけても機械的なアナウンスが流れるだけ。SNSのアカウントすら、綺麗さっぱり消えていた。大人はみんな「よくある家出だ」と口を揃える。けれど、付き合っていない悠馬には、彼女の家族の事情も、本当の連絡先も、何も知る術がなかった。ただのクラスメイトという肩書きが、残酷に悠馬の足をすくませる。「もし、あのとき僕が気持ちを伝えていれば、君は消えなかったの?」激しい後悔と、じわじわと迫る焦燥感の中、悠馬は穂花が忘れていった小さな私物だけを握りしめ、大人たちの目を盗んで動き出す。――これは、世界で一番静かな朝に始まった、僕たちの痛いほどの恋の終わりと、始まりの物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/18
  • 現在の作品あの朝君はいなくなる