あらすじ

千年以上を生きる高位の悪魔は、ある嵐の夜、孤独な老婆によって召喚される。しかし彼を待っていたのは、悪魔を「アグマさん」と呼ぶ風変わりな主(あるじ)だった。 威厳を示すべき場面だが、実は家事が大好きなこの悪魔。料理の腕に自信がある彼は少々心を躍らせ、自らノリノリでピンクのエプロンを出現させて身に纏うと、上機嫌で家事をこなしていく。 そんな微笑ましい日々の裏で、老婆の記憶は少しずつこぼれ落ちていた。彼女が患っていたのは「アルツハイマー型認知症」。徐々に出来ることが減っていく彼女を前に、悪魔は「老いる」という未知の現象に深い興味を抱く。彼女の行く末を最後まで見届けるため、悪魔は老婆の魂そのものに「百年の契約」を刻み、静かに寄り添い続けた。 それから5年半。老婆は悪魔に感謝の言葉を遺し、美しく儚く世を去る。 「残り九十四年。またあなたとの時間を刻み始めるその時まで――」 それから百数十年が流れた現代。 悪魔は、かつて主が教えてくれた思い出の花の名から「紫苑(しおん)」と名乗り、人間社会の片隅で静かに暮らしていた。彼が身を置くのは、かつての主と同じように、人間たちが「老い」を迎え、その命の灯火を燃やすとある場所。悪魔としての力を隠し、ただの人間のスタッフとして、日々人々の生と死を観察していた。 そんなある日、紫苑の前に一人の新人の青年が現れる。 その青年は、なぜか初対面の紫苑に対して物怖じせず、どこか既視感を抱かせる不思議な空気を持っていた。青年との出会いをきっかけに、紫苑が止めていたはずの時間が再び動き始める。 果たして、百数十年前に魂へ刻んだ「百年の契約」の行方は? 不老不死の悪魔と、限られた時間を懸命に生きる人間たちが織りなす、優しくも切ない時をかけるヒューマンファンタジー、ここに開幕。―」

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2025/05/22
  • 現在の作品人に憧れた悪魔、星を見上げる -Care Work De↔amon-