あらすじ
高校一年の春、姉が校舎の屋上から飛んだ。
警察は自殺と断定した。遺書はなかった。けれど、四十九日に私が見つけた姉のスマートフォンの中には、ロックを外したその先に、メモアプリへ書き残された七人の名前があった。
――この人たちに、殺されました。
私、 白瀬詩織(しらせ・しおり) 、十六歳。取り柄は、ない。容姿も、勉強も、運動も、人並み以下。ただ昔から、人の顔をじっと見すぎる癖だけがあった。瞳の揺れ、頬の引き攣り、唇の端の微かな緊張。 誰かが嘘をついた瞬間に、なぜか息ができなくなる ——そんな子どもだった。
翌春、私は姉が通っていた高校に入学した。クラスには、メモに記されていた七つの名前のうち、四人がいた。
殴らない。叫ばない。SNSで晒したりもしない。 法に触れることは、一切しない。
私は彼らの「弱点」をただ観察し、ただ正確に言語化し、ただ最も効く瞬間に、最も効く相手の耳に届ける。それだけで人間は壊れる。私はそれを、姉の遺品から学んだ。
——お姉ちゃん。あなたを殺した人たちが、今日も笑って学校に来ている。
だから、笑顔を奪うところから始めよう。