あらすじ

生まれつき手首に刻まれた“神に拒まれた印”。 それは少年アルブが、生まれながらにして共同体の外側に立たされる理由だった。 井戸、神殿、市場、裁きの場。 人々が祈りを口にする場所ほど、差別と掟は強く働く。 アルブはただ「正しいこと」をしようとするが、虐げられる者を庇えば共同体に睨まれ、掟を守れば弱者に憎まれる。 善意はしばしば裏目に出て、彼はついに故郷から追放される。 神はいるのか。 もし神がいるなら、なぜ沈黙しているのか。 答えを求めて歩き出したアルブは、都市国家の街道と港を渡り、神殿経済、労働、市場、戦争、災害、家族の現実を体で知っていく。 帳簿が人を支配し、祈りが政治に使われ、正しさが人を殺す瞬間を何度も目撃する。 やがて彼は結婚し、子を持ち、守ろうとして失敗し、家庭を壊しかける。 それでも生活は続き、赤子は泣き、豚は逃げ、腹は減る。 人は神のためではなく、互いのために生きなければならないのではないか――。 長い旅の果てにアルブが辿り着くのは、 「神とは、心の中に生まれる愛と寛容なのかもしれない」というひとつの答え。 だが同時に、世界のどこかに“本当に見ている何か”がいる気配も、彼は捨てきれない。 彼の言葉はやがて小さな共同体を生み、 人々はそれを“宗教”と呼び始める。 そして物語の最後、 赤子の泣き声、母の授乳、豚の脱走、繰り返される日常の片隅で、 誰かが小さく笑う。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/06/18
  • 現在の作品神様、そこにいますか? ―追放された少年が神を探して世界を旅した結果―