あらすじ
還暦を迎え、終活について考え始めた私。
「人生を振り返るなら、何から始めよう?」
そんなある日、子どもの頃に飼っていたシャムネコ・トニーのことを思い出した。
トニーは亡くなる少し前、夢の中に現れて不思議な言葉を残した。
――『夕方、神社、扉』
その意味がわからないまま歳月が流れ、ある夏の夕暮れ、ふと地元の神社へ足を運んだ私は、その言葉の本当の意味を知ることになる。
鳥居をくぐると、そこは見慣れた神社ではなかった。
木立の奥にひっそりと建つ、小さな喫茶店。
店の扉を開けると、カウンターの向こうでコーヒーを淹れていたのは――亡くなったはずのトニーだった。
「やっと来たね。」
懐かしい声に迎えられ、私は一杯のコーヒーを前に、自分の人生を語り始める。
商店街の肉屋で働いた日々。
うどん屋での奮闘。
ケーキ屋での失敗と成功。
100円ショップで体験した不思議な幸運。
居酒屋で出会った個性豊かな人々。
ホテルの朝食会場で巻き込まれた派閥争い――。
しかし、この不思議な喫茶店で思い出話をすると、なぜか登場人物たちはみんな動物の姿に変わってしまう。
頑固な店長はライオンに。
口うるさい先輩はキツネに。
優しい仲間はウサギに。
動物たちが織りなすユーモラスな世界の中で、忘れていた思い出や人生の教訓が少しずつ浮かび上がってくる。
これは、亡き愛猫が営む不思議な喫茶店で、一人の女性が人生を振り返る物語。
笑いあり、涙あり、時々ちょっぴりスピリチュアル。
人生の終わりを考え始めた人へ。
そして、人生の途中にいるすべての人へ。
一杯のコーヒーとともに、あなたも思い出の扉を開いてみませんか。