あらすじ
二〇〇八年、夏。
神奈川から、瀬戸内の港町・浦美原(うらみはら)へ引っ越してきた高校一年生の矢島遼太。
内気な性格の遼太は、新しい学校にも馴染めず、どこか居場所を見つけられずにいた。
そんな彼の前に現れたのが、地元で人気者の少年、秋山泰誠(あきやまたいせい)だった。
瀬戸内の方言で屈託なく笑う泰誠に連れられ、遼太は海へ続く坂道、夕焼けを望む小さな神社、二人だけの秘密基地、そして夏祭りや花火大会を過ごしていく。
青い海。
蝉時雨。
潮の匂い。
何気ない毎日の中で、遼太はいつしか泰誠へ、友情とも憧れとも言えない、名前のない特別な感情を抱き始めていた。
しかし、永遠に続くと思っていた夏は、突然終わりを告げる。
別々の場所で時を重ね、それぞれの人生を歩み始めた二人。
そして五年後――。
大阪駅での偶然の再会が、あの夏に置き去りにした記憶を、再び静かに動かしていく。
これは、ひとつの夏に出会った二人の少年が、大人になっても忘れられなかった「名前のない感情」を描く、ひと夏の青春物語。
『君がいた夏の終わり ~Beyond the Summer Sky~』
――あの夏、僕は君に憧れていた。
それが何という名前の感情だったのか、今でも知らない。