あらすじ
失恋した夜、私はひとりで夜を駆けていた。
繋いでほしかった手は、別の誰かに取られてしまった。
泣きたくない。惨めになりたくない。
だから今夜だけは、悲劇のヒロインを演じて、誰にも邪魔されずに傷ついていたかった。
そんな私の前に現れたのは、吸血鬼のような謎の美男子。
「こんばんは。君はもうボクのものです」
甘い声でそう囁く彼に、私はときめくどころか、思わず拳を叩き込んで逃げ出した。
けれど、どれだけ走っても、彼はまた現れる。
その声も、香りも、言葉の端々も、どこか誰かに似ていて――。
これは、失恋した夜に始まる、少し奇妙で、少し強引で、けれど優しい再恋の物語。
三つ目のお話は、きっと、とっておきの恋になる。