あらすじ

渋谷の夜、大学生の桐島奏は、地下のライブハウスから漏れてきた音に足を止める。 人混みを避け、転ばないように歩き、他人の視線を受け流してきた奏。脳性麻痺のある彼女にとって、自分の身体も、自分の声も、ずっと扱いにくいものだった。 そんな奏に声をかけたのは、音楽プロデューサーの黒川誠司。 「君の声が聞きたい」 その一言をきっかけに、奏はガールズグループ・STATIC GIRLの新メンバー候補として、練習室に足を踏み入れる。 センターとして重圧を背負う日向るな。 無邪気な明るさで場を動かす田中もも。 言葉を大切にするあまり、時に爆弾を投げ込んでしまう橘凛。 奏の加入に反対しながらも、誰より誠実にグループを見つめる西条美冬。 そして、音楽の可能性を信じるプロデューサー・黒川。 初めての練習、初ライブ、ファンとの距離、大学生活との両立、SNSでの炎上、過去から届く声。 奏は少しずつ、自分の身体でステージに立ち、自分の言葉を詞にしていく。 やがてSTATIC GIRLには、全国流通の話が持ち込まれる。 しかしその条件には、奏を「脳性麻痺のアイドル」としてプロモーションの軸に据える、という意図が含まれていた。 これは、障害を隠す物語ではない。 けれど、障害だけで消費されることを拒む物語でもある。 声になる前のノイズ。 言いたいことと言えることのあいだ。 端にいる人間が、それでも誰かの端へ音を届けようとするまでの、静かで切実な現代ドラマ。

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カクヨム
カクヨム2026/06/17
  • 現在の作品ノイズの向こう側