あらすじ
二〇五〇年代の東京。
人々は、顔を見る前に、顔の横に浮かぶタグを読むようになっていた。
顔認識AIと美容市場をつなぐ民間サービス「READFACE」は、視認性、記憶されやすさ、信頼形成率、映像映えなどを分析し、人の顔に短い評価タグを表示する。公式には、それは美醜の判定ではない。ただの非言語印象の補助情報。けれど社会は、いつしかその数字とタグを「美しさ」として読むようになっていた。
女子高校生のレナは、その仕組みに違和感を覚えている。
親友のミアは、自分の顔につけられた「Soft Cheek Warning」「Low Memorability」というタグに傷つき、やがて美容医療クリニック「LUMIA CLINIC」へ近づいていく。
変わっていくミア。
変わる前の顔を守りたいレナ。
けれど、その思いもまた、ミアを別のラベルに閉じ込めているのかもしれない。
これは、美をラベルで読む社会で、二人の少女が「顔を見る」ということをもう一度問い直す物語。