あらすじ

伯爵令嬢ヴィオラは、生まれつき『嘘の匂い』を嗅ぎ分ける異能を持っていた。 人が偽りを口にすると、その口から饐えた匂いが立つ。彼女だけが、それを嗅げる。 十年、王宮の裁定の間で陪席監察を務め、彼女が座る裁きでは一件の冤罪も出なかった。 だが婚約者である裁定補佐官アルヴィンは、彼女を恐れていた——自分の偽証を、 唯一嗅ぎ止められる女だったから。「嘘嗅ぎなど女の勘働き」。婚約破棄の宴で侮辱を告げられ、 ヴィオラは何も言わず宮廷を去る。 迎えたのは、北の辺境伯コンラート。誰の嘘も見抜けず、縁者にも家臣にも裏切られ続け、 一度は領地を傾けた孤独な男。三月前、無実の罪で証人喚問された彼の無実を、 ただ一人「この人から嘘の匂いはしない」と見抜いたのが、ヴィオラだった。 「あなたは、私を信じた唯一の人だ」。 彼女が辺境で嘘の匂いのしない朝を吸うあいだ、王都では三月で五件の冤罪が積み上がり、 歯止めを失った偽証は、ついにアルヴィン自身を飲み込んでいく。

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カクヨム
カクヨム2026/06/17
  • 現在の作品「嘘を見抜くなど女の勘だ」と宮廷を追われた令嬢——三月で、五人が無実の罪に落ちた