あらすじ

十六世紀、宗教改革に揺れるスコットランド。メルキストン城の領主ジョン・ネイピアは、世界の終わりが近いと信じながら、夜ごと数と向き合っていた。掛け算は、人の時間を——天文学者の、航海士の、そして愛する者の時間を——少しずつ食い潰してゆく。妻を失い、幼い子を失った彼は、やがて一つの祈りを胸に、二十年におよぶ途方もない計算へと身を投じる。病めるわが子のために、遠い薬を運ぶ船を、一日でも早く帰すために。掛け算を、足し算に変える——「対数」という、たった一枚の鏡を求めて。 終末を恐れた男が、それでも人類に時を贈る、悲しみと祈りの物語。

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小説を読もう2026/06/17
  • 現在の作品メルキストンの数 ― 時を贈る男 ―