あらすじ
目が覚めると、そこは窓もつなぎ目もない、冷徹なまでに真っ白な立方体の部屋だった。そこに閉じ込められていたのは、一人の青年と一人の少女。二人は自分の名前も、過去も、ここへ来た理由も失っていた。ただ一つ、魂に刻まれた「お互いを狂おしいほどに愛している」という切ない記憶だけを残して。混乱する二人の前に現れたのは、銀色の無機質な扉と、冷酷なシステムメッセージ。――『開錠条件:生存数が「1」になること』――どちらか片方が死ななければ、この白い地獄からは永遠に出られない。飢えと渇きが精神を蝕む極限状態の中、お互いを想う純粋すぎる愛は、やがて哀しい歪みを生んでいく。「相手を殺せない」と悟った少女は、青年を生かすために自らナイフを胸に突き立てた。愛する人の骸を前に、絶望の慟哭をあげる青年。生存数が1となり、静かに開かれる扉。しかし、青年が命からがらその扉を一歩踏み出した瞬間、彼の脳内に濁流のような「すべての記憶」が蘇る。なぜ二人はここにいたのか。なぜ記憶を消されていたのか。そして、この最悪のゲームを仕組んだ「本当の黒幕」は誰だったのか――。すべての真実が繋がったとき、生き残った彼を待っていたのは、死ぬことすら許されない永遠の地獄だった。失われた記憶の果てに暴かれる、最も純粋で、最も悍ましい愛の破滅を描くソリッド・シチュエーション・サスペンス。