あらすじ
わたくし、マーサと申します。グランフェル公爵令嬢エリーゼ様の専属侍女を十年、務めてまいりました。
このたびお嬢様が第一王子殿下より婚約破棄を申し渡されましたので、隣国へ移られるお嬢様にお供することとなり、王宮に辞職願を提出いたしました。引き継ぎ書は三百二十頁、心を込めて作成いたしました。
――ですが、王宮の皆様。引き継ぎ書に書けるのは「手順」だけでございます。侯爵夫人の機嫌の直し方、夜会の席次に潜む二十年分の貸し借り、王妃陛下の偏頭痛の予兆。そういったものは、紙には載らないのです。
これは、わたくしが誰のことも責めず、何も仕掛けず、ただ職場を去っただけのお話。
その後の王宮で何が起きたかは、後任の方からのお手紙で知りました。
侍女視点・自壊型ざまぁ短編。お嬢様とわたくし、二人分のハッピーエンド付きです。