あらすじ

5年前の夜、世界は致命的なエラーを起こした──。 世界同時多発ゲート崩壊『大侵食』。そこから溢れ出た魔物によって、世界は一変した。 黒金志季(くろがね しき)、42歳。 業界中堅のインフラ会社で、リスク管理の書類を右から左へ流すだけの冴えない中堅管理職。中3の長女には冷たい目を向けられ、小6の双子の息子には心を閉ざされている、どこにでもいる「戦力外のお荷物おじさん」。 誰もが志季を無能と呼び、志季自身もそう割り切って生きていた。 あの日、ゲートの光の中に消えていった、最愛の妻・小夏と、幼い息子・冬馬を、ただ無力に見守ることしかできなかった絶望を胸に抱きながら。 だが、亡き家族へ祈りを捧げ続けて1,000日目の深夜。 ギルドマスターである兄が、多国籍企業『ファウスト社』の陰謀によって血塗れで叩き伏せられている現場に遭遇したその時、志季の脳内で世界のシステムが過剰反応(バグ)を起こす。 引き金となったのは、志季がこれまで「暇つぶし」として、文字通り数知れず読み漁ってきたあらゆる物語の構造学(データベース)。 「正面から戦えば一瞬で死ぬ。だったら──システムの穴を突いてハメ殺すだけだ」 身体能力が平均以下だろうが関係ない。 世界の干渉から己の存在を完全に抹消し、相手の行動の軌道や構造的脆弱性を看破し、そのルールの隙間に因果を100%強制収束させる。それは家族の絆を冠する、我が家を取り戻すための、他言無用のハッキング・コード。 これは、最強になれなかった42歳のおじさんが、世界のルールを裏からハッキングしていく物語。 「──よし、まずはこのリスク管理の稟議書を終わらせよう。有給の申請(暗躍)はそれからだ」 不条理な世界をバグ利用(ハッキング)でハメ殺す、中堅管理職の他言無用のデバッグストーリー、ここに開幕。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/16
  • 現在の作品世界を裏からハッキング。 〜データベース化された因果律、中堅管理職の他言無用のデバッグストーリー〜