あらすじ

昭和の面影を残す「ひばりヶ丘団地」には、奇妙なルールがあった。夕方五時のチャイムが鳴ったらすぐに帰ること。そして、夕暮れの砂場にいる子供には絶対に声をかけないこと。 ​ ある日の夕暮れ、小学四年生の「僕」は、存在しないはずの『四〇五号棟』の裏手にある砂場で、異形の手つきで砂をいじる見知らぬ子供を目撃してしまう。その子の顔の真ん中には、底の知れない真っ黒い空洞が裂けていた。 ​ 恐怖に駆られ、命からがら自宅へ逃げ帰った僕。しかし、五時のチャイムが消え去った直後から、部屋の天井を這い回る不気味な音、クローゼットから響く歪んだ「母親の声」、そして窓の外に広がる終わりのない灰色の砂漠といった、理解を絶する怪異が僕を追い詰めていく。 ​ 徐々に砂へと還っていく自分の身体。僕は気 づく。あの砂場を見た瞬間、自分はもう日常の向こう側へと、手遅れなほどに「こぼれ落ちて」いたのだと――。

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カクヨム
カクヨム2026/06/16
  • 現在の作品405号棟の砂遊び