あらすじ
ベルナ・セルフィードは、王都から遠く離れた辺境の村で暮らす十三歳の魔女見習い。
厳しくも優しい母ミラベルは村一番の魔女。
ぶっきらぼうで口が悪い父オルファスは、書庫にこもる偏屈な錬金術師。
「魔石はね、最後に急かすと拗ねるの」
工房で薬草を刻み、魔石を磨き、今日も母の小言に耐える日々。
村の暮らしは嫌いじゃない。でも、胸の奥はどこか窮屈だった。
王都の学院や大きな図書館、そういうところを見てみたい。
自分の実力がどこまで通用するのか知りたい。
そう願っていたある日、工房に思いがけない客が訪れる。
「ミラベル・セルフィード殿。女王陛下より、書状をお預かりしております」
母は封書を受け取り、父が面倒くさそうに呟く。
「……レティシアか。面倒事だろう」
レティシア。それは、この国の女王の名前だった。
どうやら私の両親は、ただの田舎の魔女と錬金術師ではなかったらしい。
これは、何者でもなかった魔女見習いの少女が、自分の才能と向き合いながら、少しずつ世界を広げていく物語。