あらすじ
気が付いた時には奴隷だった少女アイス。
紫色の髪と瞳を持つ彼女は、自分の生まれも家族も知らず、商品番号三七八として奴隷商人のもとで働かされていた。殴られ、罵られ、道具のように扱われる毎日。希望などどこにもなかった。
そんなある日、市場で失敗をしてしまったアイスは、奴隷商人に暴力を振るわれそうになる。
その時、彼女の前に現れたのが金髪と青い瞳を持つ青年シャーベルだった。
シャーベルは迷うことなくアイスを買い取り、「ようやく見つけた」と意味深な言葉を残して彼女を連れ帰る。
それが二人の出会いだった。
それから八年。
十五歳になったアイスは、スノー王国の王都フィンランにある名門フィンラン学院へ通う少女へと成長していた。
現在はシャーベルの助手として魔道具工房を手伝いながら、平民として学院生活を送っている。優しくて少し変わり者のシャーベルとの暮らしは穏やかで、かつて奴隷だった面影はもうない。
一方、三十三歳になったシャーベルは王都でも高い評価を受ける天才魔道具師だった。しかし彼は名声を求めず、人目を避けるように工房を営んでいる。
まるで何かから身を隠すように。
実はシャーベルには誰にも語れない過去があった。
そして彼が八年前にアイスを救い出したことにも、単なる善意では説明できない理由が隠されている。
王都では王家や貴族たちが水面下で動き始めていた。
シャーベルが捨てたはずの過去。
アイスの出生の秘密。
そして地下室に隠された王家の紋章。
平和だった日常は、少しずつ終わりを迎えようとしていた。
これは奴隷だった少女アイスと、彼女を救った天才魔道具師シャーベルが、王国を揺るがす大きな運命へと巻き込まれていく物語。
やがてアイスは、自分が何者なのかを知ることになる――。