あらすじ

私が死んで三日目の夜。  私は母の夢に出た。  お願いだから、お寺へ行って、私のために一度だけ供養をしてほしい。  卒塔婆を一本、立ててくれるだけでいい。  線香を一本あげてくれるだけでもいい。  花を一束、供えてくれるだけでもいい。  いちばん安い卒塔婆でいいから。  けれど、夢から覚めた母は、インスタグラムに一枚の写真を投稿した。 「娘がいなくなって三日。ようやく家が静かになった。生きている時から、いつも暗い顔をしていて、まるで世界中が自分に借りでもあるみたいだった。死んでくれて、少し楽になった」  添えられていたのは、母が新しくしたばかりのピンクのネイルだった。  爪先には細かなラメが散っていて、日差しの中できらきら光っていた。  その投稿を見た瞬間、私は悟った。  母は、私を供養してくれない。  けれど母は知らない。  三か月後。  大規模感染が日本中をのみ込むことを。  私が供養を求めたのは、冥府で楽をしたかったからではない。  守護獣契約を買い、現世へ戻り、あの人たちを守りたかったからだ。

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カクヨム
カクヨム2026/06/16
  • 現在の作品私が死んだ三日後、母はネイルを投稿して祝った。三か月後、感染爆発で家族全員が私に助けを求めてきた