あらすじ
この痛々しい鋼鉄は、僕の「殺意」が流した涙だ。
煙の燻る工業都市。中学二年生の葦原遥(ハルカ)は、ある朝、自分の背中に鈍い銀色の「痣」を見つける。爪で叩くと、コツコツと無機質な金属音がした。
それは、街の14歳のうち「極限のストレスや加害衝動を抱えた者」の肉体を、超高火力の飛行兵器へと換装していく未知のナノナセル『スキン』の羽化の兆しだった。
時を同じくして、クラスで凄惨ないじめを受けていた少女・チサが完全羽化を遂げ、全長4メートルの美しい「怪鳥」へと変貌。自分を追い詰めた街への無差別な報復を開始する。
大人たちは子供たちの変貌を「新型感染症」と呼び、彼らを「使い捨ての防衛兵器」として最前線へ駆り立てる。父親への抑えきれない殺意から、右腕を獰猛な鋼鉄の猟腕へと換装させてしまったハルカは、かつて淡い恋心を抱いた少女を撃墜するため、雲海の上へと飛び立つ――。
会話の通じない、音速の肉片が飛び散る空で。
人間を辞めていく少年少女が、最後に見る成層圏の景色とは。