あらすじ

午後十一時四十五分。 私は、息苦しさで目を覚ました。 部屋は暗い。 勢いよく起き上がった瞬間、喉に何かで締めつけられたような痛みが残っていた。 胸が激しく上下する。 私は枕元に手を伸ばし、スマホを掴んだ。 画面に、一件の通知が表示されていた。 登録した覚えのない匿名掲示板からだった。 スレッドのタイトルは、こうだった。 「東京都北区・緑町アパート三〇四号室で殺人事件発生。午前零時、若い女性が自宅で絞殺される」 その文字を見つめたまま、指先が少しずつ固まっていく。 ここは、私の家だ。 私の名前は佐倉澪。 二十七歳。 フリーのイラストレーターをしている。 一年前、赤羽の近くにある古いアパートへ引っ越してきた。 緑町アパートは築三十年近い建物で、外壁はくすんだ灰白色。 廊下は狭く、エレベーターが動くたびに、かすかな金属音がする。 私は、ここで一人暮らしをしている。 震える指で、そのスレッドを開いた。 中には、一枚の現場再現図が添付されていた。 寝室の間取り。 ベッドサイドの小さなライト。 机の上の液晶タブレット。 散らばったラフ画。 ライトノベル表紙の依頼書。 同人イベントのチラシ。 窓辺に置いた、枯れかけのポトスまで。 全部、同じだった。 投稿時刻は、明日になっていた。 その時だった。 玄関のほうから、はっきりと鍵が回る音がした。

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小説を読もう2026/06/16
  • 現在の作品十五分後、私は殺される――死亡予告が届いた夜