あらすじ
六月の雨が降る高校で、六条麗子はいつも教室の片隅から中庭の花々を眺めていた。
ある日、古典の授業で耳にした六条御息所の和歌をきっかけに、麗子の胸の奥に眠っていた不可解な記憶と感情が揺れ始める。割れた陶器のような音とともに蘇るのは、千年前の女の悲しみだった。
クラスの中心には、誰からも愛される少年・御堂光がいる。その周囲には許嫁の葵、明るく不器用なつみか、そして光に存在を見出してしまった少女・夕顔がいた。
光への想いに翻弄される少女たちを見つめるうち、麗子は次第に彼女たちの孤独や痛みに共鳴していく。やがて夕顔の失踪をきっかけに、麗子は自分の中に残る六条御息所の記憶と向き合うことになる。
誰かに選ばれることでしか自分の価値を見出せなかった少女たち。
光の輪の外で傷つき続けた少女たち。
彼女たちは図書室と中庭の小さな庭園を居場所に、それぞれの孤独を抱えながら少しずつ繋がっていく。
これは、千年を超えて受け継がれた喪失と執着を手放し、自分自身の足で生きる場所を見つけていく少女たちの再生の物語である。