あらすじ
無人の古代ダンジョンに、なぜか煌々と蝋燭が灯っている。宝箱を開けると、なぜか都合よく「焼きたての生暖かいパン」が入っている。宿屋のドアを開けた瞬間、なぜかタイミングよく吟遊詩人がそれっぽい曲を弾き始める。
ファンタジーゲームでお馴染みのこれらの「お約束」。
だが、冷静に考えてほしい。──誰がそれをセッティングしているのか?
これは、冒険者たちが「神秘的な異世界」に感動している裏側で、胃に穴をあけながら世界を管理している、ブラックギルド『大陸迷宮安全管理公社』の社畜三人衆の物語である。
「ちょっとアレン!冒険者が今ドアを開けたわよ! 宿屋の吟遊詩人を叩き起こしてリュート持たせて! 5秒で雰囲気作れぇ!!」
有給休暇(あるいは釈放)をもぎ取るため、彼らのステルス・メンテ・ファンタジーが今、幕を開ける!
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【登場人物紹介】
■ アレン(現場リーダー/ステルス特攻担当)
銀髪をなびかせるイケメン。元・天才シーフ。
手先が器用すぎるあまり、天井裏や床下を這い回って「冒険者が来る5分前に蝋燭に火をつける」「壊された壁を30秒で超高速修復する」といった汚れ仕事をワンオペで押し付けられている。インカムで常にキレ散らかしている本作のツッコミ番長。
■ ケイト(司令塔/魔導管制担当)
褐色肌にジャラジャラのアクセサリーを纏う、一見スタイリッシュなロン毛の美青年。鍛えられた肉体に、美しい顔立ちのエルフ。
……なのだが、その中身は完全なオネエ。
管理室の水晶モニターの前で、ネイルを乾かすついでに罠の起動ボタンをポチポチ押している。口が災いして本部のエリートコースから左遷された魔術の天才。アレンへの無茶振りが激しい。
■ グレイド(重労働/物流・モンスター管理担当)
鋭い牙に片目の傷を持つ、巨大な隻眼の狼獣人。初見の冒険者なら一歩で絶望するレベルの狂戦士の見た目。
……なのだが、中身は超がつくほどのビビりで常識人。ヘタレすぎて魔王軍をリストラされ、安月給で買い叩かれた苦労人。毎日予備のレンガやモンスターの樽を背負って激走している。