あらすじ
私立青野ヶ丘中学校の美術教師の佐野隼人(30歳)は、絵を描くことがすべての人生を歩んできた。美術教師をする傍ら、芸術家としても活動していた彼はルックスも悪くなく、収入も安定しているにもかかわらず女性の影が全くないため生徒たちからは「絵が恋人」とまで言われる学校一の変人だった。
だが、そんな佐野の学校に「ロボット」と揶揄される体育教師、若野珠美が赴任してくる。
入学式の次の日、生徒指導に疲れた放課後の佐野のデスクにいつもはないメモ書きと紙コップが置かれていた。
「お疲れ様です。よければどうぞ。byワカノ」
その紙コップには、おそらく若野先生の描いた不器用なウサギが描かれている。コーヒーはブラックの飲めない佐野のためにミルクと砂糖が入っていた。
「お疲れ様です。」
後ろから鈴のような淡々とした声がした。
表情は全く変わらず、真顔で座る若野の見て、佐野は人生で初めての恋に落ちた。