あらすじ
六月、梅雨の福江市。北潟慎悟は恐竜展の映像に、説明できない胸騒ぎを覚えた。同じ日、金津美里は四人の新たな鬼を迎えていた。進学でも就職でもなく、鬼になることで社会を壊す「第三の進路」――それは救済を装った支配だった。
清王学園高校一年一組に、二ヶ月遅れで入学した少女がいる。脇出美奈子。白血病の療養を経て、ようやく学校へ来た十五歳。十彩獣団の十人は、彼女をただの仲間として迎えた。
やがて語られる、脇出家と金津家の因縁。空の龍を信じた家と、地を這う龍を崇めた家。その対立は、何百年も続いていた。
「銀の龍を摘みなさい。目覚める前に」
美里の命令が下り、四体の鬼が清王学園へ乗り込んだ。雨の校庭で戦いが始まる。だが傷つく仲間を見た美奈子の胸に、鈴の音が鳴った。
「もう、ただ守られるだけじゃ嫌」
銀色の龍が、雨雲を裂いた。
これは、一人の少女が空を選んだ章である。