あらすじ
春は、いつだって無遠慮にやって来る。
自分を好きになれない七瀬澪にとって、その眩しさは責められているようで苦しかった。
そんな春の日、澪は朝倉灯里と出会う。
灯里は、世界の欠けたところに美しさを見つける少女だった。
欠けた貝殻を月と呼び、溶けた雪を「雪だった水」と呼び、曲がった星を綺麗だと言う。
灯里と過ごすうち、澪は少しずつ世界の優しさに触れていく。
しかし、灯里を好きになることは、澪自身の弱さや醜さをも見つめることだった。
愛されても、自分を愛せない。
救われても、完全には救われない。
それでも、差し出された手を握り返すことはできる。
これは、最後まで自分を愛しきれなかった少女が、
それでも自分を愛そうとしてくれた世界へ、感謝を捧げる物語。
以下、登場人物紹介です。みおちゃんが主人公で語り手です。
七瀬 澪…自分自身に対して強い違和感と自己嫌悪を抱える高校生。
静かで控えめな性格だが、感受性は鋭く、世界の細かな揺らぎを受け取る力を持っている。
ただし、その感受性はしばしば自分自身を傷つける方向へ向かってしまう。
朝倉 灯里…澪の前の席になった少女。
明るく穏やかで、何気ない日常の中から美しいものを見つけるのが得意。