あらすじ

針子の娘から成り上がった下級貴族の令嬢ネリーは、政略の駒として、宮廷で最も食えぬ男——腹黒宰相アドラーに嫁がされた。 「針子の娘が宰相の妻など」と社交界に嗤われ、夫アドラーにも「退屈しのぎに縫っていろ」と突き放される。だがネリーの目は、ただの針子の目ではない。礼服の仕立て直しを請け負ううち、糸の注文の偏り、裏地の継ぎ目、急な寸法直しから、彼女は宮廷に張り巡らされた陰謀の糸を一本、ほどいてしまう。 全てを見透かしているはずのアドラーが見落としていた手。それを針子の妻が掬い上げたと知った夜、余裕の宰相は初めて、ネリーの前で言葉に詰まる。 陰謀が宰相の失脚と粛清を狙っていると分かったとき、布の声を聞けるネリーだけが、それを縫い止められる。彼女を駒として嗤った実家と政敵の前で、腹黒宰相はただ一人ネリーを「私が唯一、手の内を明かせる相手」と扱う。

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カクヨム
カクヨム2026/06/15
  • 現在の作品「針子の娘が宰相の妻など」と嗤われた私、仕立て直した礼服の糸目から、宮廷の陰謀を一つほどいてしまいました