あらすじ
人は見たいように見て聞きたいように聞く。
だが、それが本当に起きていた証拠はどこにあるのか。
神谷は毎朝、白い息を見ていた。
ただそれだけの、確かなはずの現象。
しかしその確かさは、次第に周囲と噛み合わなくなっていく。
見えたはずのものが、見えていないといわれる。
記録したはずの出来事が、最初から存在しないことになっている。
昨日の会話が、誰にも共有されていない。
ーー観測とは何か。
ーー現実とは誰のものか。
やがて神谷は気づく。
この世界で起きたことではなく観測されたことで成立しているのではないか、と。
そしてもし、観測するものが揺らいだらとしたら?
世界は、どこまで観測できるのだろうか。