あらすじ
中堅商社に勤める篠原 美咲(しのはら みさき)は、良くも悪くも真面目なOLだ。そんな彼女の視界にいつも入ってくるのは、同期入社の蓮見 拓海(はすみ たくみ)。誰もが認める端正な顔立ちをしていながら、仕事のやる気は皆無。毎日、給湯室や非常階段で時間を潰しているような男だった。
「少しは真面目に仕事したら?」
見かねた美咲が声をかけても、拓海はいつも気怠げに聞き流すだけ。そのはずだった。
ある日の夕暮れ、誰もいない給湯室でいつものように言葉を交わした瞬間、拓海の空気が変わる。
背後から音もなく間合いを詰められ、壁際に囲い込まれた美咲。
耳元に落ちてくる低い声と、微かに香るシトラスの匂い。会社で見せる無気力な姿は消え、そこには冷徹で、どこか執着を孕んだ「男」の顔があった。
「そんなに俺のこと見てるなら、かまってあげる」
その日を境に、2人の関係は社内の誰にも言えない場所へと傾いていく。
終電間際の静まり返ったフロア、他の男性社員と話した翌日の無言の圧力、そして境界線を越えるように誘われる彼の部屋。
普段のぞかせる無関心な態度とは裏腹に、2人きりになった拓海の視線は、いつも冷たくて熱い。
ただの不真面目な同期だと思っていた。けれど、彼の裏の顔と底の見えない独占欲に触れるたび、美咲の日常は少しずつ狂わされていく。
オフィスの死角で静かに始まる、2人だけの秘密の生活。