あらすじ
高校二年生の奏太は、特にモテないし、勘違いもしていない。ただ、ふと気づけばクラスの五人の女子とよく一緒にいる。
無口な図書委員、元気な軽音部員、真面目な風紀委員、クールな帰宅部員、そして少し不思議な転校生。誰も彼に恋はしていない。
誰も「ヒロイン」ではない。それぞれに部活や進路、家族の問題や、小さな諦めがある。ある日、音楽室の片隅で彼らは共有の五線譜ノートを見つける。
そこにただ雑談や愚痴、落書きを書き始めたのが、いつの間にか彼らのささやかな「居場所」になった。指揮者も、コードも、ゴールもない。
ただ五つの線の上で、それぞれ勝手な間隔で音符が並び、時々不協和音を鳴らし、時々ふと調和する。
恋か友情か、その曖昧な境界線で揺れながらも、誰も無理に主旋律を取らない――そんな、特別じゃないけれど、温かくてちょっぴり切ない、日常という名のアンサンブル。