あらすじ
王国歴五二七年。
魔法名門貴族バレンタイン公爵家の三男クレノは、幼馴染であるイージス公爵令嬢サクレティアと共に穏やかな日々を過ごしていた。
優しく儚げなサクレティアは、クレノにとって誰よりも大切な存在だった。お菓子を分け合い、秘密を共有し、小さな約束を交わす。二人はいつまでも一緒にいられると信じていた。
しかし、王太子ミカエル・アトランティスの十歳の誕生日会で、その運命は静かに動き始める。
王宮の華やかな会場で、クレノは来られなかったサクレティアのために菓子を持ち帰ろうとして父に叱責される。そんな彼を助けたのは、王太子ミカエルだった。
誰もが王太子の機嫌を取ろうとする中、ただ友人を想うクレノの純粋さは、ミカエルの心に深く刻まれる。
一方、サクレティアには誰にも知られてはならない秘密があった。
それは人を癒やす特別な力。
もし知られれば、教会や権力者たちに利用されるかもしれない危険な才能だった。
クレノは幼い約束を胸に、その秘密を守ることを誓う。
だがやがて王太子の想いは執着にも似た愛へと変わり、王国初の『男妃』という前例のない運命がクレノを待ち受けることになる。
これは、男妃として生きることになる少年と、騎士として生きることを選ぶ少女が交わした約束の物語。