あらすじ
交通事故で相貌失認になった大学生・葛西湊は、人の顔が分からなくなる代わりに、三角形の「五心」が見える眼を得た。
重心、外心、内心、垂心、傍心——古代から名前を持つ七つの光。
それは人間の体にも灯っている!
やがて湊は合気道と幾何学が同じことを語っていると気づく。
相手のオイラー線を読み、シムソン線で投げる方向を選び、フォイエルバッハ点に触れて崩す。顔の見えない世界で、湊はむしろ誰よりも「人の中心」を見つめていた。
そして片思いの相手・遠野美晴と、燃える建物と、薬が切れるまでのタイムリミット。
数学と武道と、不器用な恋の話。——顔が見えなくても、中心さえ見えれば、人間はわかる。