あらすじ
すべての人間が、生まれた時に管理用ナノマシン《シード》を投与される世界。
《シード》は体内に根を張り、能力、感情、思想、人間関係、将来性までを記録し、人間を三つに分類する。
社会が望む形で才能を咲かせる者、《ブルーム》。
決められた成長経路に沿って育つ蕾、《バド》。
そして、管理された世界に混じる異音、《ノイズ》。
黒瀬朔は、ただ普通に生きてきた《バド》の少年だった。
特別優秀でもなく、目立った問題児でもない。
周囲に合わせ、波風を立てず、自分に合った未来を受け入れて生きていくはずだった。
だが、進路適性面談をきっかけに、朔はこの世界の理不尽を知る。
自分で選んだ第一希望は、《ブルーム》候補のために外される。
それでも周囲は言う。
あなたには、こちらの道が向いている。
それが、あなたに合った未来なのだと。
罪を犯したわけではない。
誰かを傷つけたわけでもない。
ただ、心の奥で思った。
このまま、誰かに育てられる人生は嫌だ、と。
その抑えきれなかった感情を《シード》が記録した時、朔は《ノイズ》と判定される。
管理組織《アデナ》に追われる中、朔は心とデータが混ざり合った異常領域《グリッチ》へ落ちる。
そこで朔は、自分の中に根を張っていた《シード》を枯らし、管理から外れた異能者――《ウィザー》として目覚める。