あらすじ
女神の入力ミスで、勇者レインに授けられた聖剣は五百キロになっていた。
三年間、世界を救うために戦い続けたレインの最期は、魔王との壮絶な決戦ではない。
泥の洞窟で聖剣の重みに押し潰され、最弱のスライムに窒息させられるという、あまりにも惨めな死だった。
さらに死後、レインは知る。
自分の勇者としての役割は、新勇者アレスに引き継がれた。
聖女セラフィナと結ばれる運命も、世界を救った英雄としての名誉も、三年間積み上げてきたすべての旅路も、別人の物語として上書きされる。
ならば、奪われた人生は、奪い返すしかない。
魔王レベル1として転生したレインが得た権能は《ドミネイト》。
敵のスキル、力、支配権を奪い、自らのものにする魔王の力。
だが、その力は万能ではなかった。
奪うたびに、相手の恐怖、記憶、願いがレインの精神へ流れ込み、自我を汚染していく。
奪えば強くなる。
奪うほど、自分が自分でなくなる。
それでもレインは進む。
勇者の名を奪った世界へ。
聖女の未来を決めつけた運命へ。
そして、自分を殺した女神の筋書きへ。
これは、女神のミスで死んだ元勇者が、魔王として奪われた人生を取り戻す物語。