あらすじ
俺の名前は白墨。
高校卒業を間近に控えた、ごく普通の学生だった。
だが、一度の誕生日パーティーが、すべてを変えた。
揺らめく照明。
影の中から伸びる、氷のように冷たい手。
気がつけば、一本の白い蝋燭が無理やり俺の手に押し込まれていた。
そして、かつての同級生が、人ならざる声で囁く。
「その白蝋燭を持て……絶対に消すな……早く逃げろ……ここから離れろ……」
弱々しい炎は、濃密な闇の中で狂ったように揺れ続ける。
俺は走った。
背後には死寂。
それなのに、無数の視線が闇の奥からこちらを覗いている気がする。
そして気づいてしまった。
この宴も、この世界も――すべてが偽物なのではないか、と。
蝋燭の灯りだけが、残された唯一の希望。
だが、その炎が揺れるたび、命の残り時間が削られていく。
極限の恐怖の中で俺が願ったのは、ただ一つ。
――家に帰りたい。
――死ぬ前に、もう一度だけ両親と食卓を囲みたい。
白い蝋燭が照らす先に待つのは、生還か、それとも絶望か。