あらすじ
王立魔法学園の卒業課題発表式。
三年間の成果を示すはずのその日、首席候補セフィーナ・アルトレーゼの課題箱から出てきたのは、教師バレオスの死体だった。
胸に刺さっていたのは、彼女の卒業課題《白冠短剣》。
そして確認された魔術署名も、間違いなくセフィーナ本人のもの。
偽造困難な魔術署名。
死体。
凶器。
動機を疑われる家名。
誰もが彼女を犯人だと思った。
落ちこぼれ気味の三年生、カリスフォド・フェルマーもまた、一度は彼女を疑う。
だが、彼の眼帯の奥に宿る緋眼石は、箱の中に残る奇妙な違和感を捉えていた。
胸に短剣が刺さっているのに、血が少なすぎる。
白い刃は、使われたにしては綺麗すぎる。
そして被害者は前日、セフィーナに「伝えなければならないことがある」と口にしていた。
魔術署名は本物だった。
だが、それは「殺人犯」を示す証拠ではない。
証拠は嘘をつかない。
嘘をつくのは、証拠の意味を決めつける人間だ。
これは、先生の死体を提出したと疑われる天才令嬢と、見なかったことにできなかった眼帯の少年が、魔法学園最大の事件に挑む物語。