あらすじ
中学に入学した藍澤美優(あいざわ・みゆう)には、人より高く響く「特徴的な声」があった。
小学生の頃は可愛いと褒められていたその声は、新しい環境では嘲笑の対象となり、クラスの中で孤立していく。
笑われるたびに心を削りながら、それでも家族には本当のことを言えず、明るく振る舞い続ける美優。
しかしある日、教室で朗読をしている最中、彼女の声は突然出なくなってしまう。
診断は「心因性失声症」。
声を失った美優は学校を休み、自宅で静かな日々を過ごすことになる。
――もし、この声に意味があるのなら。
そんな思いを胸に抱えながら過ごすある日。
美優は偶然つけたテレビで、一匹の白猫が登場するアニメを見る。
耳の聞こえない白猫が、必死に言葉を覚えながら「生まれてきた意味」を探す物語。
そして、その白猫を演じる声優の声が、美優の心に深く響いた。
これは、声を失った少女が、ある「声」と出会う物語。
やがて始まる再生の、ほんの小さな第一歩。
この作品は他投稿サイトで公開した短編の改稿版です。