あらすじ
夜長 灯也(よなが とうや)の前に、毎夜0:00ちょうどに夜行バスが現れる。
胸の奥にぽっかりと空いた“穴”に誘われるように、白いヘッドライトが路地の闇を切り裂き、古びたバスが静かに停まる。
行き先表示はいつも同じ。
『夜行バス 0:00発 終着なし』
灯也は降りられない。
なぜなら、彼の終着駅はまだ存在しないからだ。
バスに乗り込むと、隣の席には必ず誰かが座っている。
生者の心の奥底に沈んだ、「失くしたものの影」——。
ある夜は、送信できなかった最後の言葉を抱えた女性が、淡い光の粒が舞う《未送信メッセージの丘》へ向かう。
別の夜は、幼い日の自分を置き去りにした少年が、夕焼けに染まる《遊歩道》で静かに消えていく。
またある夜は、選ばなかった未来が、雨の降りしきる《駅前》で、傘も差さずに立ち尽くす。
- 「返されなかった約束」
- 「会えなかった最後の一日」
- 「届かなかった『ありがとう』」
- 「叶えられなかった夢の残骸」
- 「許せなかった自分自身——」
影の旅人たちが抱える喪失は、どれも灯也の胸に鋭く刺さる。
見届けるたび、灯也の心の穴は少しずつ形を現し、忘れていた痛みが疼き始める。
「……俺も、何かを失くした。でも、それが何なのか、どうしても思い出せない。」
バスは、決して嘘をつかない。
降りた者は二度と戻れない。
終着駅は、変えられない。
そして灯也にも、いつか降りなければならない駅がある。
今はまだ知らない。
その終着駅に、名前も顔も思い出せない“あの人”が、ずっと灯也を待っていることを——。
静かに、夜の底へ沈んでいくような、切なくて美しい喪失の物語。
あなたの中にも、まだ送れていない言葉、置き去りにした自分、選ばなかった未来が、眠っていませんか?
夜行バスは、0:00に、あなたの街角にも来るかもしれません。
=====
本作品は小説家になろうでも同時掲載しており、両サイトとも1日1話のペースで更新を続けておりますが、初心者で不慣れなため、至らぬ点もあるかと思いますが、温かく見守っていただけると幸いです。
小説家になろう版URL:https://ncode.syosetu.com/n4493mi/
※現在カクヨムコンテストへの応募を検討しており、規定文字数を満たすためカクヨム側でエピソードを先行公開する場合がございますが、何卒ご了承の程、よろしくお願い致します。