あらすじ

1665年、猛暑のロンドン。ペストが猛威を振るう中、感染者が出た家は外から太い釘を打たれ、扉に「赤い十字架」を描かれて完全封鎖されるという非情な法令が下された。 両親を病で失い、異常増殖した飢えたネズミが蠢く密室に取り残された14歳の少女、エララ。 富裕層から賄賂を受け取り、貧しい者を密室へと追いやって財を成していた汚職検疫官、トマス。 決して交わるはずのなかった二人の運命は、死臭漂う絶望の街で奇妙に交差する。犬猫の虐殺、無意味なオカルト医療、そして狂気に満ちた暴動。人間の愚かさが生み出した地獄を彷徨う二人は、やがて1666年の秋、街そのものを物理的に浄化する未曾有の災厄「ロンドン大火」に飲み込まれていく。 これは、極限状態における人間の業と、すべてが灰に還った果てに灯る生命力の軌跡を描いた歴史サバイバル群像劇。

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カクヨム2026/06/14
  • 現在の作品灰と十字架の黙示録