あらすじ

「もう十分に、尽くしたでしょう」 異世界から召喚され、十年もの間「聖女」として国に魔力を捧げてきたマリエル。癒やしの奇跡を求められる日々に疲れ果て、彼女はある朝、静かに宮廷を去った。目指すのは辺境の小さな村。そこで彼女が見つけたのは、声を失くした青年リョウと、彼が手がけるささやかな花屋だった。 リョウは「花言葉」を筆談で伝えながら、訪れる人々の心にそっと寄り添っている。沈丁花で「栄光」、スノードロップで「希望」、赤いバラではなくアザミで「報復ではない独立」——彼の選ぶ花の言葉は、王都で聞かされたお世辞や命令とはまるで違う、優しくもまっすぐな真実を宿していた。 マリエルはリョウのもとで花言葉を学びながら、誰かの「ため」ではなく、誰かの「心」に届く癒やしを手探りで紡ぎ始める。だが平穏は長く続かない。新たな魔物の脅威が国を襲い、かつての同僚たちが彼女の力を求めて村へ現れる。 「聖女様、もう一度だけ——」 戻るべきか、戻らぬべきか。迷うマリエルに、リョウは一輪の花を差し出す。その花言葉は——「あなたの人生は、あなただけのもの」。 これは、誰かの「聖女」であることを辞め、自分自身の「言葉」を取り戻すまでのお話。花のささやきに導かれた、もうひとつの聖女伝説、ここに開幕。

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小説を読もう2026/06/14
  • 現在の作品聖女を辞めた日から、私は花の言葉だけを信じることにしました