あらすじ
みにくいと笑われ、アヒル小屋を追われた一羽の子ども。
長い冬を越えた彼は、春の池で美しい白鳥たちに出会う。
「あなたも白鳥ですよ」
水面に映っていたのは、みにくいアヒルではなく、美しい白鳥だった。
本来なら、ここで感動の物語は終わる。
だが彼は、水面を見つめたまま言った。
「だから話が合わなかったのか」
自分は努力で白鳥になった。
諦めなかったから羽が白くなった。
アヒルは状態であって、運命ではない。
白鳥とは種ではなく、姿勢だ。
救われたはずの彼の自己肯定感は、一度かなり上空へ飛んでしまった。
白鳥たちは「いや、種です」と冷静に止め、アヒルたちは「アヒルのままで何が悪いんだ」と反論する。
それでも彼は、昔のアヒル小屋へ戻り、かつて自分を笑った兄弟たちに「気づき」を届けようとする。
やがて彼は、アヒルの子どもから「白くならなくても、池は渡れるよ」と教えられ、自分が少し調子に乗っていたことに気づく。
そして、反省した。
反省した結果、彼はその反省を教材化し、湖のほとりに白鳥アカデミーを開校する。
これは、みにくいと思われていた子が美しい白鳥になる話ではない。
白鳥だと判明した瞬間、救済された本人の自己肯定感が暴走し、周囲の水鳥たちを巻き込んでいく話である。