あらすじ

あらすじ  大きな白い領域が、いつの間にか街を取り囲んできていた。誰にも見えないし聞こえなかった。けれど、少しずつその領域は広がってきていた。最初はだれも気付かなかった。気づいても言わなかった。誰かがそれについて口走っても、聞こえないことにしていた。〈僕〉はわかっていた。なんだかそれが、僕たちの生活のちっぽけな幸せとか努力とか、恋とか、そんな全てのものをいとも簡単に吸い込んでなかったことにしていた。  映画研究会の会合で、夏休み中に学校に来るたび、〈僕〉は屋上から街を見渡した。真っ白な領域が、そのたびに広くなってきていて、まずは〈僕〉の街の、僕の知らない部分をすこしずつ消していった。消えて初めて、〈僕〉はその路地やその空き地や、街のその部分に関して、何も知らなかったことに気付いた。制作で遅くなって、なんだか皆疲れてしまって、家に帰るのが億劫になって、一日位と思って宿直の先生とかの眼を盗んで、家庭科室とか入ってる方の棟で五人くらいで一日だけ寝泊まりして、本当に一日だけだったけど、気づいたらすっかり真っ白い領域に囲まれてしまって〈僕〉たちは帰ることができなくなっていた。  白い空間の中にぽっかりと空いた穴の中で暮らすのが〈僕〉たちの生活となった。そこでは時間は進んでいるのかいないのかよくわからず、常に夕方頃の時刻の趣で、お腹もすかなければ眠くもならなかった。しかし、本当は時間はある部分では進んでいた。タクミがお腹を大きくしていることで、〈僕〉たちはそれに気づく。男児懐胎。誰もタクミには触っていなかった。同じころ、タクヤが校舎内で不審な人影を見た。それは、どうやら、去年ダントツトップの成績で卒業し、有名大学に進んだものの、飲みサーに入って慣れない酒を飲みすぎ、急性アルコール中毒で亡くなったヒロヤス先輩らしい。そのことと、タクミの妊娠との関係は?突然現れて消えたヒロヤス先輩の目的は?

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エブリスタ
エブリスタ2018/07/15
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