あらすじ
野良の子猫を拾ったことから、正樹と藍子は出会う。
処分室「ドリームルーム」へ送られるはずだった小さな命を救うため、藍子は猫だらけの実家へ子猫を預けた。
何度も刑務所を出入りしてきた正樹は、いま理容師として人生をやり直そうとしている。藍子の部屋で暮らしながら理容コンテストを目指し、いつか身体の自由にならない人のもとへ出向く訪問理容師になることを夢見ていた。
理容室のオーナー、かつての刑務官、血のつながらない母。そして藍子。行き場を失いかけた彼のそばには、いつしか家族のように寄り添う人たちがいた。
だが、刑務所で弟のように思っていた誠也との再会をきっかけに、正樹は再び罪を犯し、鉄の扉の向こうへ送られてしまう。
「もう俺のことは忘れてくれ」
面会室でそう告げる正樹。しかし藍子は諦めない。
あの子猫をドリームルームに置き去りにしなかったように、正樹もまた、誰かに見捨てられていい存在ではないのだから。
血のつながりを超えて紡がれる、再生と家族の物語。