あらすじ
「困ったら、とりあえず杉本に聞け」——二十年、そう便利使いされてきた。
杉本拓也、四十二歳。技術力は高く、何でも一人でこなす“便利屋”。だが部下も肩書きもなく、気づけば八歳下の後輩に、課長の座を先に越された。出世なんて気にしていないつもりだった。それなのに——込み上げた「悔しさ」と、そう感じてしまった自分への動揺に、彼は揺れる。
「この会社にいても、成長できる気がしない」——そう漏らす若手を前に、杉本は決める。「便利屋を、やめる」と。
仕事の見える化、生まれて初めての“断る”、教えながら渡す、数字で語る——地味で実践的な仕事術を一つずつ積み上げ、係長、課長と階段を上っていく。「いい仕事をするだけでは出世しない」という現実に向き合いながら。
逆転劇でも、無双でも、ざまぁでもない。便利屋の個人技を超え、「人と仕組みで成果を出す」側へ。四十二歳の“働き方”は、静かに、しかし確かに変わっていく。
今からでも、遅くない。明日の机でも使える、ひとりの会社員の物語。