あらすじ
世界の中心には、一つの塔がある。
願いの塔。
天を貫くほど高くそびえ立つその塔の頂には、あらゆる願いを叶える力が眠るという。
名誉を求める者。
富を求める者。
力を求める者。
失ったものを取り戻そうとする者。
人々はそれぞれの願いを胸に塔へ挑む。
だが。
最上階へ辿り着いた者は、未だ一人もいない。
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フェルン村で暮らす少年、グラン・ウォーカー。
彼は何者でもなかった。
才能はない。
特別な力もない。
誰もが何らかのスキルを持つ世界で、彼だけは無スキルだった。
剣術は我流。
身体能力も平凡。
冒険者としての才能など、どこにも見当たらない。
十二歳の時。
魔物の襲撃によって父を失った。
最後に父は言った。
母さんを頼む。
その言葉だけを残して。
そして五年後。
今度は母が、この世を去った。
残されたのは。
一冊の冒険譚と。
首から下げた小さなペンダントだけ。
家族を失った少年は空を見上げる。
遠い空の向こう。
誰も辿り着いたことのない塔を。
そして思う。
――自分がどこまで行けるのか知りたい。
それがグランの願いだった。
何者でもない自分は。
どこまで歩けるのか。
無スキルの自分は。
どこまで届くのか。
その答えを探すために。
少年は故郷を旅立つ。